大会の自分の試合演武を振り返って、反省をしたいと思います。自分は満足出来る演武が出来たのかどうか?気をつけた部分や、修正した部分はどのように見えるか?どうすれば対戦相手の良いところを盗めるか?大会に参加するというのは、私にとっては自分とライバルの比較研究材料を沢山集めるという大事な機会でもあります。
指定技は物見、霞と太刀落の仕杖三本のみです。海外の試合では団体戦以外では仕打交代がありません。第16回杖道欧州選手権は18ヶ国、参加人数140名を超える過去最大規模になりました。
物見の一番大事な部分は最初の本手打だと思います。返し突きよりも難易度が高いです。教本には以下のように書かれています。
(要領)左手で杖を肩幅にとると同時に左足を左斜め後ろに半歩退き、右足を一歩退きながら体をかわし、左手を後ろ上から回し、左本手打で右小手を打つ。
(留意点)打が振りかぶる時、右手で杖先を上げ、左手で杖を肩幅にとると同時に左足のつま先を開きながら半歩退き、やや半身の姿勢となり杖先で顔面を攻めるように杖を後ろから回してやや半身の姿勢に体を開いて小手を打つ。
(着眼点)足の捌きはどうか。杖を大きく回して小手を打っているか。
これを知っていても実際にはどのような動きを自分たちはしているのか?観戦していて非常に気になったのでこの部分を反省して研究したいと思います。最初の足捌きでは、いくつかのパターンがありました。
左足を開かずにちょっとだけ横に足をズラす人
左足を半歩退くだけの人(2倍スロー再生)
左足の踵で回ってから湧泉で回る人
では私の打ち方も見てみよう。春の杖道合宿から先生に問題点を指導され、鏡を見ながら自宅稽古を重ねました。大会開始前のウォームアップでも友達に色々な角度から見てもらい、矯正してもらいました。はたして改善しただろうか?
皆よりはしっかり体を開いて、やや半身になっているとは思う。爪先も外に向けて半歩退くように心がけましたが、ちょっと横を向き過ぎかな?最初の半歩で計算すると私は右足を二歩以上退いているようで、小手に当てたときに少し前傾してしまう。一番気になるのは遅いことです。左手で杖を持ったときに肩幅ではないのも動画ではっきり分かります。全部の動画で私はほんの一瞬太刀よりも遅い。
下が別動画の二倍スロー再生。右脇が開くのが気になります。これはおそらく手幅を広くしようとする癖が原因だと考えられます。そして、太刀が止まってから杖が止まるので、打ち込みが遅いというのがハッキリ見えます。右手が腰から離れる距離が下のアダム選手よりも大きいようですが、これも彼と比べたときに手幅が広いのが原因だと思います。杖を滑らせようと考え過ぎているからだろうか。杖と右足は同時だけど、太刀と杖が同時に止まらないのは私の理想的な打ち方ではない。私の右手は目の高さまで上がる。手に取る杖は肩幅、退く右足は一歩というのをもう一度体に叩き込む必要があるようだ。打太刀の手や肩が動き始めてから動き出すというのも、遅すぎる原因なのかもしれない。見切るのが下手なのだろう。
初戦で負けたイエスパー選手は三段でよく優勝していた方ですが、打ち込みが素早いのが特徴。体格が良いので、見ていて安定感があります。体軸の移動が少ない。太刀と杖と右足が同時に止まる。右手も鼻の位置まで上がってくる。体を開く時間が私の半分くらいのスピードです。他に気になるところは、私の右手の軌道と比べると、彼は真上に上がるのに対して、私は一度後ろに引いてから上がるところです。ちなみに、彼の打太刀をしているシダ選手が、おそらく今回アップした動画の中では一番振りかぶってから切るを実践しているように感じます。対戦相手は正対したまま後ろではなく、足を横に移動しているように見えます。
こちらは今回優勝したマリアン選手のスロー動画。やはりこちらも打ち込みが速く、ほぼ同時に太刀と杖と足が止まります。彼女も体軸の移動が少ない。右手は口か鼻の高さまで上がる。しかし体は開いておらず、正対からやや半身になっているような体裁きです。なぜ教本に杖を両手で取るときにやや半身になる必要があるのか?という部分について、これらの動画を見比べると、彼女のように取ろうとすると、右手が前に出てしまう原因になる可能性があるから、なのかもしれない。右手の軌道は、イエスパー選手と比べると明らかに前に膨らんで上がるのが分かる。
アダム選手が一番私と似ている足と体裁きをしているように見えましたが、左手の杖を掴む部分と、打ち終わってからの体裁きが少し私と違います。左手の作る円は、私は頭上に対してかれは顔の高さです。ほぼ同時に太刀と杖が止まりますが、足が1テンポ遅いようだ。右手は胸の高さくらいまでしか上がらないし、右肘は私よりも前に出ないけど、右手の軌道はイエスパー選手に近い。後ろのロベルト選手はマリアン選手と同様に、右手が前に出てくることと、左肩がほとんど移動しないことからも、正対したまま、左足はちょっとだけ外側にズラす程度で打っているのが見て分かります。
ハッキリ言って、誰一人として正しくは打てていないと思う。これから五段を目指す我々には、皆の弱点を自分の弱点だと思ってチェックして、自分の弱点を皆を見習って修正していくのが近道だと思う。そして、だんだんと審判をやる機会も増えてきたので、しっかり見れるように頑張って勉強していかなけらばならない。
返突用意では、しっかり杖尾を持って突ける状態であることが大事だと、注意を何度も受けていたので練習したつもりだったんですが、準々決勝の前に「柄が杖から離れる瞬間まで本手打で待つ」のを強調した方が良いのではないかと助言があったので、そのことばかり考えていたら試合ですっぽ抜けました。余計なことは考えないで演武するのが良いと反省しています。
それでは比較研究を読んだ上で、準々決勝でマイケル選手に負けた一戦での物見をご覧ください。
それにしても、まさか一度も失敗したことの無い返突でハプニングが起きるとは…
次回は霞で反省します。
物見の技は左足に引き方による体の動き。左手で杖を握り右手を体から余り離さないで正中線上を移動させ振り上げて打つ。
アドバイスどうも有難うございます!特に苦手と感じる形ですが、頑張って稽古を続けようと思います!
物見の技は左足の引き方による体の動きに注意。左手で杖を握り右手を体から余り離さないで正中線上を移動させ振り上げて打つ。
ありがとうございます。ちょっとずつわかって気がします!
[…] 数年前の欧州選手権のブログ記事では、四段での物見について研究しました。私は誰一人として正しく演武できていたとは思えませんでした。まず杖の取り方です。教本ではつま先を開きながら半歩退くとありますが、チェックした動画では私とアダム以外はやってなかった。バリエーションは大きく分けて3通りです。緑のXは杖を取った時の頭の位置です。想像で描いたので完璧ではありませんが、だいたいこんな感じだと思います。 […]